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インタビュー【村上弘明×佐藤類】3度の挑戦 そして制作にかける想い

2023年夏にリリースを控える『ブラックステラ トロメア』について、シナリオ責任者である株式会社オルクスの村上弘明氏(以下、村上)と開発を担当するサーバーステップ株式会社の代表取締役である佐藤類氏(以下、佐藤)にお話を伺いました。本インタビューでは、3度の挑戦の経緯と、『ブラックステラ トロメア』に対するお2人の想いをお届けします。

『ブラックステラ』の再々リリースに至るまで

インタビュアー
ブラックステラの歩みを、時系列順に教えて下さい。

村上 

ブラックステラの始まりは、数年前フジゲームスさんから弊社に シナリオライターをアサイン出来ないかという企画の相談が持ち込まれたところから始まります。

その当時持ち込まれた企画書をこのインタビューもあり読み返したのですが、その段階から『死』や『キャラロスト』といったキーワードがあり、ダークな、 大人向けのテイストのゲームを目指していた印象です。

その企画書を元に、当時弊社でお付き合いのあった作家さんたちにお声掛けをさせて頂き、 世界観設定・『鈴木貴昭』、メインシナリオ・『丸戸史明』『長月達平』『稲葉義明』という現在のシナリオスタッフが ある程度固まって動き始めたものになります。


実は私が参画したのは、初期からではなく、そこからある程度時間が経過し、開発スケジュールがひっ迫し始めた頃なんですね。 次第にゲームの仕様が固まってきた段階で先行して納品していたシナリオについて 「この表現はやっぱり無理です。この展開だと無理です」 とかクライアント・開発会社からオーダーが来まくったんですね。

まあゲーム業界ではよくあることなんですけど(苦笑)。これがまあ結構シナリオに大きく影響しており、当時の担当が頭を抱えていたんですね。


そこでゲームのプロデュース・ディレクション経験のある私に白羽の矢が立ちまして……まあ私も頭を抱えたんですけど(笑)

半年くらい、開発の現場とシナリオライターさんとコミュニケーションを取りながら、世界観の調整・シナリオの調整などを行っておりました。

スケジュールが無い中で、皆様のご尽力もあり、シナリオ自体の初期実装分に関しては ほぼほぼ納品を終わらせました。

あとはゲームの開発側が頑張っている状況で、リリースを待ちながら、ちょっとプロモーションのお手伝いさせていただいておりました。


そんな中、フジゲームスさんの、経営方針の変更により、自社でのパブリッシングを断念するということになりました。

これがいわゆる最初の開発中止ですね。

インタビュアー 
ここで一度目のブラックステラ開発中止が−。

村上 

そうですね。 ただ、作ったシナリオは面白いし、世界観も魅力的で、フジゲームスさん含めてユーザーさんの反応も良かったということもあって、どうにかしてこのシナリオを世に出したいという思いが強くありました。

なので、フジゲームスさんに「違った形で出す方法がないか模索していただけませんか?」というお願いをさせていただきました。


やはり作家さんにとっては、作品は世に出て『初めて報われるもの』なんですよね。

世に出て評価されることで初めて自分たちにとって価値が出るものなんです。

一人だけのために何百万円積まれて小説を書いたとしても、彼らは決して満足するわけじゃないんです。


作家にとっては『納品してお金をもらえればそれで終わり』じゃなくて、そこから色んな人に見てもらう機会があって、 そして手に取って読んでもらい、ユーザーさんに何らかの感情を抱いてもらうことが大事なんです。

まあ人によっては違うかもしれませんが、少なくとも私どもはそう考えております。


作家の想いを語る村上

村上 

そのお願いを聞いていただく形でフジゲームスさんが、 本作品を引き取って開発・パブリッシングをしてくれる会社さんを探し回って頂くこととなりました。


とはいっても、ソーシャルゲーム市場自体が結構厳しく、しかも開発費が相当高騰している状況下で、文字数だけは100万字を越え、 世界で売ろうにしても翻訳コストだけで頭を悩ますような作品なので(笑)。

開発リソースを引き継いだとしても、開発コストとか考えると、中々座組みというか、 作家のスタッフィングだけで手を挙げて頂けるっていう方たちは、なかなかいなかったのが実情です。


そんな中で、手を挙げていただいたチームが現れたというのが次の『ブラックステラ インフェルノ』の時代ですね


インタビュアー 
なるほど、一度目のブラックステラが終わりを迎え、とはいえ作家さんが力を込めて作ったシナリオを世に出すべく、ブラックステラ第2弾、ブラックステラ インフェルノが始まるのですね。



佐藤 

そうです。ただ、そういった想いを背にいざリリースしたときには、うまく行きませんでした。

共同開発の会社さんと力を合わせることができず、システムや企画部分がユーザーライクなゲームをつくることができませんでした。


前回はそうなってしまったけれども、 今回はサイバーステップが責任を持って企画、システム、デザイン、運営も、全部一貫して行うので村上さんもおっしゃられた作家さんたちの気持ちや想いとか、 期待してくれた方々に対してきちんとした形で提供したい、と思ってます。


あと現場の、社内の開発者も、『ブラックステラ』をきちんとした形で世に出したいっていう想いが強かったので、 社内の想いと、世間のニーズを受けて、プロジェクトとして改めてスタートしました。


ブラックステラ3度目の挑戦の理由を語る佐藤

インタビュアー 
サイバーステップ、オルクスどちらにもかなり強い想いがあってのブラックステラ第3弾プロジェクト『ブラックステラ トロメア』が開始するのですね。


村上 

第3弾プロジェクトを開始するタイミングもよかったです。

『インフェルノ』リリースの前に条件面が折り合いまして、著作権を引き継ぐことができまして。


もともと著作権すべてをフジゲームスさんが持っていた状況下で、 監修等のお力添えはできたのですが、それ以上に貢献することができない状況にありました。

でも、状況を見る内に、直接ちゃんと開発側の方々とコミットメントして、より良い形でお客様に届けたい、 そうしていくべきだったのではないかと考えが強くなってきまして。

それで、『インフェルノ』の開発と並行して著作権自体を買い取れないかというお話をフジゲームスさんと継続的にさせていただいておりました。


著作権も引き継ぐことができて、 これでこちらの方で作品に対するクオリティとか、そういったもの全てに対して、作家と私どものほうでOK・NGがしっかり出せるような体制、 開発の現場のみなさんと直接コミュニケーションをとりながら良い作品にしていくっていうような体制を作れるようになった、っていうころです。

佐藤さんの方から「インフェルノはうまく行かなかったが、新しいブラックステラを自社で開発をしたい」と、 「どうにかこの作品を、この面白いストーリーをユーザーさんにちゃんと届けたい」というスタッフたちが沢山いるというお話を聞かせて頂きました。

その熱意に感銘を受けて、開発・運営・パブリッシングすべてをサイバーステップさんにお願いするに至りました。


無論、弊社側も監修など諸々に関してガッツリと関わらせて頂いております。


作品の世界観というか、物語に合ってるのが…、良くはないんですけど……作品自体も『死に戻り』しております。 しすぎだろ言われたらしすぎているんですが(笑)。


ブラックステラ トロメアでこだわるポイント

インタビュアー 
かなり波乱万丈なストーリーを経て、強い想いを乗せてプロジェクトが走り出していますね。
では力を込めてリリースされる第3弾『ブラックステラ トロメア』で魅力になる部分を教えて下さい。

村上

やはり私どもとしては作家のシナリオというところが一番売りになるところだと思っているので、 それを楽しく読めるためのゲームにしています。

直感的にサクサク進めて、シンプルにシナリオが読める・楽しめる。だけれどもソシャゲの一つの軸であるバトルもしっかりしている。

初心者からベテランまで、幅広く楽しめるゲームにはなっているんじゃないかと思っております。

 

更にシナリオも、改めて読んで分かりにくいところとか修正とか手を入れたりすることで、よりお客様にとって面白く読めるようにしています。

加えて、キャラクターデザインのおぐちさんが改めて主人公、ヒロインのデザインを描き起こしていただきました。

今の時代に合った、とても素晴らしい主人公・ヒロイン像だと思ってます。

 

開発現場、シナリオの現場、イラストの現場を含めて、本当に良いものを作ろうっていう気持ちが出た作品にはなっていると思うので、 ここから色々プロモーション含めて、ユーザーさんが触れる機会があると思います。

ご興味がある方は、何よりも是非、クローズドベータで手にとっていただければ幸いです。

今後のスケジュール

インタビュアー 
クローズドベータテスト(CBT)の話が出たので、流れに沿って。
今後どういったスケジュールで『ブラックステラ トロメア』は露出していくのでしょうか。


佐藤 
5月頭にCBT実施して、5月末から事前予約開始、6月末にはストア予約開始を想定しております。

7月末リリースできたら良いなあと。

最後に、プレイヤーの皆さんに向けて

インタビュアー 
最後に、プレイヤーになにかメッセージがあれば教えて下さい。

佐藤 

すごい質の高いシナリオと、イラスト、キャラクターデザインがすでにあって、 それを最大限ゲームをプレイする方に魅力を届けられるようにってところで、3DCGに関して、最大限質の高いグラフィックスの実現を制作の現場は一生懸命進めています。

当然それに加えて、システム面、プログラマーに関しても完成度の高い、個性的なゲーム作品になるように開発を行っています。


原作シナリオ、キャラデザイラストの魅力が最大限プレイしてくれる方に伝わるように開発してますし、 運営も一人でも多くの人に知ってもらって遊んでもらえるようにプロモーションの方も注力しているので、是非とも手に取って遊んでいただけたらありがたいです。

インタビュアー 
お2人ともありがとうございました。